参考資料
関連する資料については、下記リンクから入手できます。
https://www.dialog-semiconductor.com/products/greenpak
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Dialog Semiconductorは、デザイン例やICの各種機能、内部のブロックセルの説明など、総合的なアプリケーションノートのライブラリーをご提供します。
- GreenPAKデザイナーソフトウェア、ソフトウェアダウンロード、ユーザーガイド
- AN-1123 LED Dimmer with Analog Regulation (Japanese).gp, GreenPAKデザインファイル
- GreenPAK開発ツール, GreenPAK開発ツールウェブページ
- GreenPAKアプリケーションノート, GreenPAKアプリケーションウェブページ
- SLG46120 データシート
著者斎藤 伸平
はじめに
このアプリケーションノートは、アナログフィードバックを含むPWM回路をGreenPAKでどのように作成するかを記述した一例です。この回路はSLG46120Vという小さいGreenPAKに実装されているため、他のGreenPAKにも容易に移植することができます。
外部回路



図1で示されるように、二つのアナログ電圧入力があります。一つはR1とVRで作られ(0V…VDD/3※)、PIN4および6に入力されるもの。もう一つはR2とC1で作られ、LEDのPWMデューティ比 (0%...100%)をアナログ電圧(0V…VDD)に変換したものです。これはコンフィギュレーションにより1/3倍されPIN3に入力されます。これら2つの電圧はACMP0によって互いに比較され(図2 参照)、もしPIN4の電圧がPIN3より高ければ、PWMのデューティ比は増加され、そうでなければ減少されます。 これにより PIN3 の電圧は常にPIN4 の電圧に近づくよう調整されます。
※VDD=3.3Vという前提でPIN4,6にはACMP0で比較可能な電圧(0 … 1.1V)が加わるように設計しています。
回路設計 – PWM制御
図3はPWMの主回路です。これはAN-1117に記述されたものと同じです。CNT2が0.1ms毎に “reset”パルスを発生し、CNT3が0.1ms毎に “set”パルスを発生します。そしてLUT6がこれら2つの信号をラッチし、PWM波形を作成します(図4 参照)。
CNT2 およびCNT3のカウンタ値は199に設定されています。したがってこのPWMの解像度は200ステップで、周期が0.1msです。PWM波形を正しく作成するために、CNT2およびCNT3のカウンタ値は同じになるように設定してください。

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そしてCNT1周期(1ms)毎に、CNT2、CNT3のいずれかが、LUT4,5によって1クロック多く受け取ります。(図5 参照)。これによりPWMのデューティ比は1ms毎に“DOWN/nUP”シグナルの状況に応じて1ステップ増加、あるいは減少します。CNT1の値を大きくするとLEDの明るさはゆっくり上昇するようになり、より「スムースな」効果が得られます。
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PWMオーバーフロー防止回路
PWMがオーバフロー、あるいはアンダーフローを起こさないよう、2つの回路が付加されています。
アンダーフローに対してはACMP1が50mVの内部リファレンス電圧と共に使用されています(図6 参照)。REF_Vが50mVより低くなると、 “nForce 0%” シグナル(アクティブ Low)を発生させ、 PWMのデューティ比を強制的に0%にします。

図7はオーバーフロー制御回路を示しています。
“set”および“reset”パルスが同時に発生し、かつ“DOWN/nUP”シグナルが“nUP”の場合、“Force 100%”シグナルを発生させ(アクティブ High)、 PWMのデューティ比を強制的に100%にします。

結果として、“REF_V” と “PWM 比” の関係は以下のようになります。

また、上記”Force 0%/100%”状態と通常状態との遷移をスムースに行うため、”Force”状態の時にはPWMに対してクロックの供給を止め、CNT2およびCNT3が最後の値を保持するようにしています(図9参照)。

PWM出力波形
図10は実際に出力されているPWM波形を内部の”SET”, “RESET”信号と共に表示したものです。
Channel 1 (yellow) – “RESET”
Channel 2 (light blue) – “SET”
Channel 3 (magenta) – LED OUT (PIN 12)
Channel 4 (blue) – REF_V (PIN 4 and 6)
REF_Vと”SET”, “RESET”そして出力される、PWM波形の関係については、別途動画ファイル “LED_Dimmer.mov”をご参照ください。


まとめ
このアプリケーションノートでは、アナログフィードバックを含むPWM回路をGreenPAKでどのように作成するかを説明しました。GreenPAKの柔軟なアナログ・デジタルコンポーネントによって、このような回路を簡単に作成することができます。